使い方一つで大きなスペースも作れる引き違い戸
日本で昔から使われている引き違い戸
扉は、出入り口としてほとんどの建物に備わっています。その扉にもいろいろな種類があるため、用途に合わせて効果的なものを選ぶことが大切です。そんな扉の種類のなかでも、今回は引き戸についてご紹介します。引き戸は5種類あります。溝やレールを取り付けが取り付けられており、これに沿って左右に動かし開閉する方式が引き戸になります。片方側だけ引くのが片引戸、2枚取り付け両方に引き分けるタイプが両引戸です。さらに、壁に引き込む形は引込戸と呼びます。2本の溝やレールを重ね合うように取り付け、省スペースで使えるようにしたのが引き違い戸です。木製のものがよく知られていますが、アルミサッシや鉄のものもあります。ガラスをはめ込んだ引き戸もありますが、意外と歴史は浅く、大正時代あたりから使われるようになりました。この背景には、大正時代に板ガラスの量産があります。
これまで引き違い戸といえば、主に日本家屋の玄関に使われてきました。他にも雨戸や廊下、収納扉も引き違い戸がよく見られます。ドアに比べると、どうしても密閉度は下がりますが、素材を考えることで、遮音性や気密性に優れたものも数多く出てきています。
引き違い戸ということを考える場合、大きなメリットは開閉の場所をとらないということになるでしょう。お互いの位置に引き込むことができるため、扉に比べてスペースがいりません。そのため、人の出入りはかなり楽になります。もしも、何か部屋に取り込まなければいけない場合、片側の大きさを超えるのであれば、両側の戸を外してしまうことで、大きな開口部を確保できるのもメリットでしょう。
よくできた構造ですが、精度を上げなければうまく開閉できなくなります。なぜならば、滑らずに動かなくなってしまうことも出てくるからです。お互いの戸の隙間の精度が低いと、密閉性はさらに落ちてしまうこともデメリットでしょう。特に、防音の問題は精度に大きく左右されますので、鍵の取り付けについても考えていかなければ効果的な方法となりません。
省スペースで大きく使える
引き違い戸を利用する場合、どんな場所でも適しているというわけではありません。メリットとして、出入りが楽になり、床面積が有効活用できるようになります。扉の場合、引くにしても押すにしても、扉の開閉分だけのスペースがなければいけません。なぜならば、狭い場所に取り付けると、それだけで身動きができなくなる恐れが出てくるからです。もちろん物を置くことはできませんから、その分広く使うことも難しいです。物など置かなければいいと思うかもしれませんが、部屋の中に引く扉の場合、そこに座っているわけにもいかなくなるでしょう。制限がついてしまうというのは、どのような形にしても良いことではありません。しかし、引き違い戸にすることで、開閉のための面積は最小限に抑えることができるようになります。
家具をおくということは、いろいろな制限がつきますが、使いやすくなることは間違いありません。あけていた戸が、風で締まってしまうようなこともなく、体もひねらないため、だれでも楽に使うことができるのも大きなポイントでしょう。
バリアフリーにするリフォームの時に、一緒に引き違い戸にしてしまうのは、かなり有効であるということもわかってきています。車いすを使っていると仮定した場合、扉を引かなければいけないとなると、自分の車いすの位置が邪魔になってしまいます。押すとしても、その分前に移動しなければいけません。その扉を閉めようと思えば、また自分が邪魔になるのですから、労力がどんどんと増えていくことになります。だからこそ、バリアフリーには、引き違い戸がぴったりとあっているといえるでしょう。
もっと使いやすくするために
引き違い戸は、リフォームする場合に重要なポイントにもなってきます。特に玄関に使う場合は、断熱性や静粛性の問題だけではなく、防犯性も考えなければいけません。最近は、かなり高性能なものも出てきていますが、戸ごと外されたりすれば意味がないことも覚えておく必要があります。引き違い戸の大きな問題として、ちょっと力を入れて締めたら、勢いよく滑ってしまったりすることがありますし、2枚重なったときに引き出しにくくなることが挙げられます。クローズ機能がしっかりしたものの場合、ゆっくりと締まるようにすることができますので、バリアフリーを考える場合には採用するといいでしょう。あとは、戸に取手をつけることで、引きやすくすることができるものもあります。これは、閉めるときに取手があることで締まりきらないようになり、簡単に引き出すことができるようになる効果があります。ただし、引き違い戸の機能の一つである開口部の問題がその分狭くなりますので、どんな場所につけるのかを考えて選ぶといいでしょう。
さらに、鍵に関しては中に埋め込んでしまうシリンダーキーが一般的ですが、かなり高性能な鍵は、マンションなどで使われるカードキーやリモコンキーといったものもあります。どれにするかは、家族構成やライフスタイルに合わせて考えていくといいでしょう。
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