ねじの回し方
ほとんどの家に1本はあるスクリュードライバー(ドライバー)。
身近なものだけに、あまり意識することはないかもしれませんが、いざ、ねじを回そうとしてうまくいかなかったことはありませんか。
DIYメンテナンスツールの定番、「ねじ回し」の基本を紹介します。
シンプルな形のドライバーだが、実は下記のようにさまざまな工夫がある。
底部がハンマーで叩けるようになっているものや、軸の根元がスパナで回せるようになっているものなども。
DIY用途に合わせて使い分けよう。
●グリップ
持ち手(グリップ)の形は四角や三角、丸などさまざまで、木や樹脂など材質も多様。選ぶときは、実際にグリップを持ってみて回しやすいものを選ぶ。高級なものでも手に合わないと感じたら選ばない方が無難。
●先端
ねじを回すと、ねじ頭からドライバーが外れようとする力がかかる。これは「カムアウト」と呼ばれる現象で、ねじを上手に回せないばかりか、ねじ頭をつぶしてしまうことも。このカムアウトを防ぐために、ドライバー先端の材質を変えたり溝をつけるなど工夫が施されたものもある。また、先端が磁気を帯びたものは、ねじが落ちにくく、手の届かないところに落ちたねじを拾い上げるのにも便利。
●長さ
回したい場所に手が届きにくい場合は軸の長いもの、狭いところで使うには短いものが使いやすい。何本かあると使い分けができて便利。
●大きさ
一般的なプラスドライバーの種類は、小さい順に(写真右から)「1番、2番、3番」。プラスねじも同様で、いちばん多く使われているのは2番のねじ。ねじ頭の大きさに合ったドライバーを使おう。
回す方向
基本的には、ビンやペットボトルのふたと同じ。時計回りが締まり、反対が緩む(写真1)。
ただし、オートバイなどでは、反対に回すねじが使われることもあるので注意。
ねじの大きさが分からないときは
まず大きな番手(サイズ)のドライバーを合わせてみて、入らなければ小さいものに換える(写真2)。
ぴたりと入らなかったりがたつきがある場合(写真2右)、サイズが合っていない。
ドライバーの握り方
グリップの底部が、手のひらの中心より下に来るようにして(写真3)握る。
腕とドライバーが一直線になるように握ると(写真4)回しやすい。
回し方の基本
単に回すだけだとカムアウトしやすいので、押しながら回すのが基本(写真1)。押す力7、回す力3くらいを目安に。
緩めるときも押しながら回すと山をつぶしにくい。
反対の手を軸に添えるようにすると、より安定する。
良くない回し方
ドライバーがねじに対して斜めになっていると(写真2)、ねじ頭をつぶしやすい。軸が長いドライバーは斜めになりやすいので、先端を確実に入れて真っ直ぐになっているか確認しながら回そう。
また、逆手に持つのも(写真3)押す力は掛けやすいが軸が安定しないので不可。
ねじの向こう側に手を置いて回すのは(写真4)危険。
左の写真1が正しく締め付けたねじ頭。
つぶれかけたねじ頭(写真2)は、このまま回すと完全につぶれてしまうので、ドライバーの番手を確認した上で、液状のねじはずし剤を塗布してから回そう。
完全につぶれたねじ頭(写真3)は、先端でねじをつかめるようになっているペンチで回す。
ねじ頭を新たに作ったり、折れたねじを取り出す専用工具は、うまく使うのに習熟が必要。
プロは、ドライバーから手に伝わる感触で、ねじ頭がつぶれそうになるのが分かるという。
それほど手の感触は大事なのだが、狭くてけがをしそうな場所や汚れやすい場所では、手袋をするのがおすすめ。軍手でもいいが滑りやすいので、樹脂がついた手袋の方が回しやすい。
また、電動ドライバーは大量にねじを締める場合などに便利だが、作業が楽な反面、締め具合を調整するのが難しく、油断するとあっという間にねじ頭がつぶれてしまう。注意して扱おう。
なお車のねじに関しては、昔は自分でメンテナンスできたところでも、最近の車は扱いが難しい。一見プラスねじに見えても、専用工具が必要だったり、一度外すと付けられなくなるねじもあるので、無理をせず業者に頼もう。